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嶽ニ棲ムモノ

明治初頭までは狼が日本全国各地の山々に存在した。
オオカミは田畑を荒らす害獣を食べてくれ、木々の食害の原因となる鹿や猪が多くなりすぎないよう、数を調整してくれる、まさに山の管理者だった。
オオカミは賢く集団で狩をし、肉を喰らうその姿は恐怖そのものであり、畏敬の念を込め人々は古代から神様として崇め奉った。
ニホンオオカミが絶滅した諸説はいくつかある。
狂犬病流行に伴った狼の駆除、コレラ流行に伴い信仰である狼を乱獲した事、産業革命に伴った森林伐採による生息地の減少。
他にも説はあるが、皮肉にも人間自身による複合的要因が大きいと考えられる。
ニホンオオカミは「ヤマイヌ」と恐れられ敬われ、そしてこの世から姿を消し「大口真神」となった。
私はそんな幻の狼を求めて彼らの記憶を一つ一つ辿っていく事にした
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